MR. FRIENDLY Cafe 新ミニマリズム
新ミニマリズム


新しいミニマルは単なるシンプルなスタイルではなく構造理論

店舗デザインにおける過去のミニマルはその表現自体はパースの中にあった。スカッとシンプルな雰囲気、直線的な単純な形状の反復、そして極めて少ない色使いなどがその代表的な特徴である。それに対し、JetMinMinの提唱する新ミニマリズムは、その特徴は平面図(時には展開図)の中にある。 ドナルド・ジャドなど、ミニマリズムの作家達が目指したミニマル表現とは本来、極めて単純化された構造を用いながら、それを見る人の目線や立ち位置、すなわちレンズにより生じるパースにより、豊かな表情を見せるという、いうなれば科学的な表現手法であったのだが、そのキャッチーで真似やすい形状から、本質を得ないデザイナー達が表面のみをコピーしたことで、本来の意味を失い、ただ単純でシンプルな形状を指す言葉になってしまった。時にはミニマル本来の持つ効果がマグレ当たり的に現れ、いい雰囲気を出すこともあるが、あくまで表面的であることに違いはない。店舗デザインに限らず、建築デザインにおいて、構造(機能的レイアウトを含む)と意匠(ディテールや色や素材や看板などによるロゴの配置など)を分けて考えることは重要である。構造は理論的(左脳)に考え、意匠は思想的(右脳)に考えるのだ。今回の場合に限らず、JetMinMinのデザイン手法において新ミニマリズムは構造理論に属する。

最小限の造作で最大限の効果を目指す

店舗デザイン、特に飲食店などのサービス業の店舗をデザインする場合、最も大切なことは動線と目線をコントロールすることである。損益分岐点という言葉を御存じの方も多いと思うが、店舗、すなわち商売において、余剰な人員を雇うということは赤字を意味する。その逆にキャパに対して通常よりも少ないスタッフ数で営業できれば売上に対する純利益が上がることになる。 この MR. FRIENDLY CAFE は3人で運営する店である。3人で運営するということは1人が休憩に出てしまうと2人で営業しなければならないということである。しかもここは MR. FRIENDLY の直営店の機能も兼ねているため、2人でカフェとショップをきりもりするというスーパー離れ業を求められる。 平面図(下)を見て欲しい。まずは車椅子可のスロープを上がって店内に入る瞬間、お客様はすでに店の中央にいて、レジ前に立つスタッフといやおうでも対峙することになる。スタッフの目線からは、そのまま留まればカフェのお客様(ファーストフードやシアトルコーヒーと同じセルフ方式であるという明確な意思表示がされたカウンターである為)、左に向けばショップのお客様ということがわかる。ショップのお客様がコーヒーを飲みたくなった場合も、一度レジ前を通る。カフェ、ショップどとらもお客様が帰る場合も必ずレジ前を通る。 その反対に、お客様はカフェでもショップでもゆっくりと時間を過ごすことができる、いわば巣穴形状であることがわかるだろうか。この形状で20人のカフェのお客様と何人かのショップのお客様を厨房のレジ前からあまり離れることなく捌くことが可能となった。 このスロープのトンネル自体が、バリアフリーの入口と、カフェエリアとショップエリアの仕切りと、理想的な動線とを作りだしたのである。これこそがJetMinMin流新ミニマリズムである。

豊かな色、やさしい印象

店舗デザインを構造と意匠に分けて考える。構造は理論であり、この場合は新ミニマリズムである。意匠は思想であり、 MR. FRIENDLY CAFE においては LOVE & PEACE / BE HAPPY / SAVE THE EARTH などである。新ミニマリズムにおいて何もない真っ白な空間などありえない。表面的なことこそ、心の豊かさを追い求めるべきである。いろいろな木材によるいろいろな柄、メッセージからくる素材やエレメンツ。そして何よりも MR. FRIENDLY の居心地の良さそうな空間。 MR. FRIENDLY とお客様が共に幸せな時間を過ごすための表情こそが、この店に求められる最大の要素なのだから。

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by jetminmintopper | 2008-10-13 16:57 | WORKS
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