MODERN-VINTAGE <モダン・ヴィンテージ>
JetMinMinは建築から印刷物まで全てのデザインをファッションと捉えています。
こんな突拍子のないことを言っても何のことだかわからないかもしれませんが、基本的に商業デザインというのは今をデザインする仕事ではなく、ちょっと未来をデザインする仕事なのです。クライアントから依頼されることを盛り込むだけでは何もデザインしたことにはなりません。いわゆる「あり方」を提案することからが本当の仕事と言えます。(ちょっと難しい話をしているかな〜) 
周りをとりまく状況や、社会情勢など、いろいろな情報から今後の時代の流れを予測し、また、何かしらアクションをおこした場合の化学反応的変化を先読みする、一か八か的な仕事ともいえます。我々はプロとしてギャラをもらって仕事をする以上、当然、勘や博打では提案はできません。今後何十年もその商売をしていこうというクライアントを危険にさらすような真似はできません。温故知新というすぐれた言葉にあるように、古い歴史を勉強し、ちょっとだけ古い歴史を検証し、今を分析し、未来を読む。難しくて楽しい作業です。答えはいくつもあり、選択肢も無限にある中から、クライアントに最適な道をセレクトし、道案内をするという感覚です。
実はもう少し説明しなくてはなりません。以上のことはデザインをする前段階だということを知ってもらわなければなりません。ここで終わったらただのビジネスコンサルタントになってしまいます。
デザイナーとは創造的な仕事をする人のことを言います。理屈だけではないのです。クライアントが我々にデザインを依頼する意味がなくてはなりません。ということは、他のデザイナーとは違うデザインをしなかったら、我々の存在意義はありません。StudioStudioでは、毎年、デザインコンセプトを設定しています。これはファッションデザイナーと同じ作業です。今年14年目のStudioStudioですからそうでもしないと仕事がマンネリ化するって言えばわかりやすいかもしれませんが、常に新しいことにチャレンジしながら、ちょっと未来をデザインするために考え出した独自の手法とでも言えばそれっぽく聞こえるかな。
去年の後半から現在にかけての共通テーマはタイトルのMODERN-VINTAGEです。(ようやく標題に辿り着いた) 自分で言うのも何ですが、Kビルはそれが上手い具合に表現できた建築物です。ファサードにはそれをわかりやすくビジュアル的に表現してありますが、本当のMODERN-VINTAGEは平面図の中にあります。このKビルは前の2階建ての建物と後ろの2階建ての建物を吹き抜けの中庭でつないでいます。これはイタリアやフランスの都市型建築の定番のスタイルです。もちろんヨーロッパのそれらは中世の時代に造られたものであるため、今回のテーマのヴィンテージにあたります。建築自体は鉄骨造で極力シンプルにデザインしたため今回のテーマのモダンそのものです。このようにコンセプト、プラン、ビジュアル全てを一つのテーマでまとめるのは大変な作業ではありますが、わざわざ足枷をつけなくてもそれっぽい物は作れるんですが、ちょうどいい配分で上手くいった場合、とっても気持ちのいい物が創れることを知ってしまった以上、もうやめられません。Kビルはヴィンテージという下支えの上にモダンが乗っかる、ファサードのデザインがそのままコンセプトを表現している、そんな建築物です。
by jetminmintopper | 2007-07-01 02:06 | WORKS
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